銀盤カレイドスコープ vol.1ショートプログラム・Road to dream

小説を購入してもうすぐ一週間。2回目の通し読みに入りました。かなりツボだったようです。
そんなわけで今回から感想なぞ書いてみようかと思います。
ホントはタズサのラクガキを描きはじめたのですが、あまりのになさっぷりにかなりヘコんだ瑞紀だったりします。
<vol.1ショートプログラム・Road to dream>
vol.1は、ピート編の前編。
オリンピック代表を目指す16歳の自称100億ドルの美貌を持つスケーター、桜野タズサがひとつの目標を突破するところまでが描かれているわけですが、フィギュアスケートを題材にしているにも関わらず、スポ根で無いところがよいですね。タズサは目一杯努力もしているし、特訓の描写もあるのですが、そこがメインでは無いということ。ラブコメ的なのは後半に残しておいて、前半は、コメディに徹しているのが気持ちいいです。
また、タズサの自伝というフォーマットによるタズサ視点の描写が、自分もタズサを体感しているような気持ちになって、感情移入してしまいます。そして憑依した幽霊のピートが、読み手をある意味代弁する部分もあって、彼とタズサとの完全にほど近い同調感を、読み手にも与えてくれるのかなぁ?と思います。
ストーリー展開も比較的ナチュラルで好感が持てました。野球を例にすると「9回2アウトから一気に大逆転!」みたいなのは嫌いなので・・・。
それから、自然と頭の中にイメージを膨らませていくのですが、試合中の場面でのいろんなジャンプやテクニックが脳内変換ができない部分も多く、解っていたらもっと楽しかっただろうなぁと思うこともありました。しかし、それでも雰囲気はしっかり伝わってきましたので、かなり上手く表現されているのだと思います。
キャラクター的には、タズサが一番好きではありますが、イヤミ三代こと三代雪絵コーチが非常にいい味していますね。今後もいろいろ鍵を握る人物な部分ではなく、タズサとのやりとりは最高に楽しい。またピート、コーチ、ヨーコ、それぞれが個性を確立していていい感じに絡んで、そしてみんな温かい・・・。いわゆる悪人がいないのがいいのです。そんなわけで、自分のベストシーンというのが選べずにいます。