銀盤カレイドスコープ vol.3 ペアプログラム:So shy too-too princess

第3巻は、何とタズサが一時的とはいえ、ペアへ転向する話。
冒頭での仮面舞踏会のシーンがあったせいか、意外なくらいすんなりと納得して読み進めてしまったのですが、読んでいくにつれて、いかにペアがタズサに向かないかをエピソードで押してきて、読み手をハラハラさせてくれます。
ただそれが、性格やプライドにより、思わず突っ張ってしまうという表面的な部分だけでは無く、ピートとのかげがえの無い日々による純潔さがもたらしたものというのが、タズサらしいと思わせてよかったです。
でも、これが実写のドラマであったら、ただのわがまま性悪女が周りの犠牲を顧みず使い捨てていく話に転落してしまうような気がします。
その辺が、タズサの自伝形式でタズサの深い部分がきっちり表現されている又は文脈から読ませる小説の良さかなぁとも思いました。
自分的ハイライトシーンは、プログラムでもオスカーとのシーンでも無く、リアと会食するシーンでしょうか。あのタズサが憧れ、顔を赤らめてしまう存在。プリンセスを僭称?していながらリアのことはライバルでは無く目標だからなのですが、そんな力の差を客観的に認め素直に憧れるタズサというのも新鮮で素敵だと思うのです。
このときには知るよしもなかったのですが、vol.5にて自分の力量を把握できずタズサに挑んでしまったキャンディとのコントラストに繋がっていてお見事!という感じです。
それとオスカー、シンディ、ともにタズサの引き立て役を演じることなったわけですが・・・、二人ともいい人ですよね・・・。特にオスカーの人格者?ぶりには驚かせられます。タズサに認められるだけの力量があるというのも前提にあんりますが、あのタズサに最後までつきあった強さは感服ものです。素直に頭が下がりました(笑)。